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彼女の唇がゆっくり動いた。

「せ」

「っ」


「ぷ」


「ん」



「?」


突然すぎてまだ頭に伝わってないのだろう。
「そう、接吻。
 してもいいかな」
いち、に、さん数えたあとくらいにやっと彼女の顔が赤くなった。
ユデダコみたいになって、手の甲でバッと唇を覆った。
「ななななっな、」
「嫌なら、いいんだ」
「いいやとかそそんなんじゃっ………」
それだけ言って、廊下の壁にフラッと凭れかかった。ますます手の甲が唇に押しつけられた。
きっと頭がパンクしたんだ。何も言わずに瞬きだけを何度も繰り返して、俺を見つめる。
真っ赤な頬に泣きそうな眼。
なのは、彼女だけでなく俺もだ。さすがに涙目にはなってないが。
「な」
「なんで?」
少ししてやっと彼女が口をひらいた。
「君のこと」
おどおどした彼女の眼が見つめてくる。
「考えながら歩いてたら」
彼女がビクッとした。
「君が向こうから歩いて来たから」
彼女の眉間にシワが寄る。
「え、ちょ、そんだけか…」

「…なんか無性にかわいくて」

いい加減手の一つくらい出してもいいじゃないか。
「っ………」
彼女は腰でも抜けたのか、膝をおって壁沿いにずりおちていった。
俺の背と同じくらいまでずり落ちてから、そろそろ防波堤の決壊しそうな潤んだ眼でにらむ。
「…こ」
やっと手が口元を離れた。
「このくらいの高さで…平気か?」
多分このときくらいに俺もユデダコレベルになった。涙目にもなったかもしれない。



ゆっくり、
でも迷わずに、
二人の影が重なった。






→→→→→→→→→→

オウ…ポエマー…
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